ホテル・民泊業界の人手不足解消と生産性向上の勘所

2018.08.13

ホテル・旅館を始め宿泊施設の人手不足の問題が顕著になってきています。就業人口減少時代の現在、人手不足の問題はこれから先もなくなることのない経営課題といえます。これを解消するためには業務効率化を行い生産性向上を高めてく必要があります。

そこで今回は、ホテル・民泊業界において、生産性を高めるために各施設が取り組みをはじめている施策をご紹介します。

ホテル・民泊業界の人手不足解消と生産性向上の勘所

人手不足の進行するホテル・民泊業界において、業務効率を高め、従業員1人当たりの生産性を高めることが重要です。
しかし実際には、具体的に何に対しどのように手をつければいいのか悩んでおり、何も施策を講じることができていないままの方も多いのではないでしょうか。

そこで、今回は業務効率を改善し生産性を高めるために取り組むべき、具体的な『ポイント』=勘所についてご紹介していきます。

まず、ホテル・民泊業界が業務効率化を図るためには、客室担当業務とフロント業務、備品の管理や発注、そして従業員同士のコミュニケーション等の面において以下を推進することがポイントであることを、しっかり抑えておいてください。

①無駄な時間の削除・作業効率のアップ

1人当たりの生産性を高めるために、現在の業務のなかから無駄なものを見つけ、様々な工夫によってその業務の無駄を省いていくことが重要です。その「工夫」とは、例えば業務内で決められたマニュアルやルールの見直し・改訂であったり、備品や資材などのモノの配置を最適化する等といったものが挙げられます。

長年に渡って続けられてきた手順・方法など、現在になって改めて見直してみるともっと効率化できるはずのものが見つかるケースも多くあります。
現在の業務フローや備品等の物品の配置で、更に従業員の業務の効率を高められるものがないか、まずは見直しをすることが生産性向上の第1歩となります。

②IT化

また、業務効率を上げる施策としてロボットや機械の力を利用して、人間の行う業務の省力化を行うことも有効な施策です。
ロボットといわれると大掛かりなものをイメージしていまいますが、例えば、手書きで管理していた書類をExcelに替えてデータ化したり、IoT機器の導入によってスタッフが足を運んで確認していた情報を全て手元の機器1台から確認できるようにしたりと、「IT化」を図ることで業務効率を改善することが狙えます。

デジタル化した情報やインターネットの活用によって、人間が行わなければならない業務を減らすことが、人手不足の業界においては特に重要です。


この2点のポイントを理解したうえで、業務効率化のために具体的にどのような場面で何ができるのか、ホテルや民泊事業で代表的な業務内容ごとに分けて例を混じえご紹介していきます。

フロントにおけるチェックイン・チェックアウト業務の効率化

ホテル業、民泊事業において、チェックイン・チェックアウトの業務は欠かせません。

特に予約の日時・時間の管理は、宿泊客の到着時刻や食事の時間などが部屋や宿泊者ごとに毎回違うなど、複雑化しやすく、施設によって管理方法も様々です。
これらの業務を、ちょっとした取り組みやIT化などの工夫で効率化することができます。
具体的には、以下のような取り組みが挙げられます。

ネット予約率を上げる

現在、ホテル・民泊事業者の殆どがネット予約による宿泊客の獲得を行っているかと思います。

電話やメールでの予約受付も平行して行っている施設は多いかと思いますが、電話・メールでの予約受付は従業員が直接顧客とやり取りをする時間・予約情報を台帳に転記する手間などが発生してしまい、顧客自身が必要な情報を入力してくれるネット予約と比べて宿泊施設の運営側にとっては手間と時間が掛かってしまいます。

そのため、宿泊客をネット予約から獲得する割合を高めることが、ホテル・民泊などの宿泊施設運営者にとっては手間の省略・業務効率の改善に繋がります。
また、ネット予約の場合は、宿泊者に予約時に氏名・住所などの情報を入力してもらえるため、チェックイン時にフロントへ到着した宿泊者を客室までスムーズに案内することができ、運営側・宿泊者双方が手間を省くことができるというメリットもあります。

これを実現する具体的な施策としては、例えばホームページの改善や新たなメディアへの掲載、SNS等を用いた情報発信等の施策が有効です。

ホームページへの訪問数がある程度ある場合には、デザインやクリックボタンのレイアウト、宿泊プランのタイトルや金額の表示、予約フォームの改善など、ユーザー目でのサイトの見やすさ・使いやすさの改善(ユーザビリティの向上)を図ることで、ネット予約の数を上げることができます。

また、現在ホームページへの訪問数が少ない場合には、宿泊サイトやNEWSサイト、ブログなどへの掲載を狙ったり、SNSを活用して積極的な情報発信を行うことも有効な手段です。SNSの活用については、費用を掛けずに行うことができるという利点もあり、手軽にはじめることができます。

既に宿泊予約サイトに掲載を行っている場合には、宿泊予約サイトに掲載している画像や情報、掲載文章などをユーザー目線に立って更新することも有効な手段です。

客室清掃・備品準備作業の効率化

客室の清掃・備品準備も、ホテル・民泊事業において欠かせない業務です。
それぞれの業務で発生する、「業務効率が悪いポイント」の例としては、以下の様なものが挙げられます。

○客室清掃
 宿泊客が部屋にいないことを確認するために、フロントなどに毎回確認を入れている。
 清掃の必要の有無や、宿泊客が清掃NGを出しているかどうかなど、客室に行かないと分からない。

○備品準備
 レストラン・宴会用のドリンクで、発注漏れがあり欠品が発生してしまう。
 注文されたワインが、保管棚を全て確認してはじめて在庫が欠品していることに気がついた。
 客室に設置した冷蔵庫内の有料ドリンクの在庫や消費が、直接行かないと確認できない。

これらの業務効率を下げている問題に対して、解決方法の一例を以下にご紹介していきます。

客室清掃の業務を効率化する。

例えば、部屋数の多い宿泊施設では清掃員がどの部屋に清掃に行けばよいか、リアルタイムで把握できる状態にすることが業務の効率化に繋がります。

そのためには、まず宿泊客が部屋にいるかいないか情報を取得する必要があります。
従来の方法では、宿泊客がフロントにキーを預け一時的に外出をしている時間や、決められた時間に別室で食事を取っている時間などを狙って清掃やベッドメイキング、客室に布団を敷く作業などを行っていましたが、清掃員がこれらの時間を知るためにはフロントとの連携や食事・チェックアウトの予約時間を確認する必要がありました。

これを、部屋や客室の扉にセンサーを取り付け、宿泊客が部屋にいるか・いないかの情報を取得できるようIoT化することで、清掃員がリアルタイムに掃除やベッドメイキングに入るべき部屋を知ることができるようになります。


▽この取り組みは、こちらの記事でより詳細な内容をご覧いただけます.▽
『清掃員不足のホテルがIoTコントローラーとウェアラブルデバイスで課題解消?!』

備品準備・管理の効率化をする。

また、備品の管理も同様にIoTで効率化できます。
レストランや宴会場で提供するお酒類の在庫や、トイレットペーパー、ダスター、アメニティなどの消費される備品の発注は欠品を防ぐためにもミスなく行わなければなりません。

そこで、これらの備品の保管庫をIoT化し、在庫の数をデータ化して「見える化」することで発注の漏れを防ぐことができるようになります。

在庫のIoT管理によって、従来までの目視確認での在庫数のチェックの手間や人為的なミスによる発注忘れなどといった問題を取り除くことができ、業務効率を改善することができます。

またこの様に在庫情報をデジタルデータとして取得可能にしておけば、システムの導入・構築次第では少なくなった備品を自動的に発注することも実現可能です。

万が一欠品が発生しても在庫が見える化されていれば直ぐにお客さまにその旨を伝えたり、代わりのモノを用意するなど対応策を取れるため、顧客のクレームや不満足感を未然に防ぎサービスの品質を上げることにも繋がります。

他にも同様に、IoTによって客室に設置された冷蔵庫の中の有料飲料の在庫を従業員がリアルタイムで確認できるようにすれば、宿泊客の精算を速やかに行ったり、在庫補充の際に客室へ持っていくドリンクを必要最低限で済ませることができるなど、業務効率の改善が可能です。

コミュニケーションツールの充実による待ち時間の短縮

最後にご紹介するのは、コミュニケーションツールの充実です。

業務の都合上、離れたところにいる従業員同士が連絡を取らなくてはならない場面が発生するかと思います。ホテルや旅館では、上司から部下へ指示を出したり、共有事項を連絡したりといった場面が発生するかと思います。

或いは、部署や担当・役割によって業務が明確に別れている場合や、日中勤務している従業員と夜間勤務している従業員が別れている場合など、従業員が自分の担当外で起こったクレームやトラブル、連絡事項などを共有できていない状態が発生しているといったケースも少なくありません。

こうした従業員間のコミュニケーションを充実させる施策としては、連絡手段の見直しが有効です。
例えば、離れたところにいる従業員同士が連絡を取る手段としてウェアラブルデバイスを導入することで、従業員はハンズフリーで作業を行いながら音声通話によって連絡を取り合うことができるようになります。

▽ウェアラブルデバイスによる業務効率化の例はこちら▽
『『変なホテル/ハウステンボス』でのウェアラブルデバイス活用事例』


他にも、所属や出勤時間が違っても共有事項の共有漏れがないよう、大型のモニターを1台設置して各担当者が手元のタブレットやウェアラブルデバイスで共有事項を入力するとモニターにリアルタイムに表示するようにセットしたりと、様々な工夫が考えられます。

連絡事項を抜け漏れなく行える体制を構築することで、何度も同じ説明をする手間を省いたり、共有漏れによるミスを未然に防いだりといったことが実現でき、業務効率の改善を図ることができます。

終わりに

今回は、ホテルや民泊業界においてよく発生する業務上の非効率的な箇所を改善する方法を、例としていくつかご紹介しました。

現在行っている業務を改めて見直すことで、今までは見逃していた業務効率を改善できるポイントを発見できる可能性があります。それらの改善が可能なポイントに対し、簡単な取り組みやIT技術の活用を以てして常に改善を続けていくことが、組織や従業員1人当たりの生産性を高めるために重要です。

是非皆さまも、これらの例を参考に業務効率を改善できるポイントを探し出し、生産性の向上に努めてください。

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